せどやまバンク事業とは


事業の仕組み山林所有者と利用者のマッチング

これまでにせどやま市場は、里山から切り出された木材の流通と利用を通じて、里山の利用を促進してきました。木材という「資源」は、ひとつの重要な生態系サービスですが、里山はもっと多面的な機能を持つ生態系です。その機能を活かしていくために、せどやま市場では「里山が持つ多面的機能を利用する権利」の流通を推進します。

山林の所有者から、里山の利用や管理についての要望と、面積や位置などの山林情報を、せどやま市場が聞き取ります。その情報をもとに、山林を利用したい人や事業体とのマッチングを行います。利用内容は材木の伐採だけでなく、しいたけ栽培、山菜採り、キャンプなどの遊び場づくり、炭焼きなど、さまざまな用途が想定されます。

事業をはじめたきっかけ

芸北では、せどやま市場での木の買上と加工、流通を通じて、山林所有者自身による里山の整備が進みました。しかしそれ以上に、色々な理由により、山の持ち主自身が管理できない山が、芸北にはたくさんあります。行政による管理支援が始まった針葉樹林に対して、広葉樹の里山管理は所有者にすべて任されています。所有者自身が管理しきれない山では、過疎化や高齢化の進行とともに、相続にともなって里山の放棄や土地の散逸といった問題が顕在化してくると予測されます。個々の山林所有者だけに里山の利用や管理を委ねるのではなく、社会全体として里山を利用しながら管理していくため、この「里山バンク事業」が始まりました。

名前の由来

芸北では家の裏山を「せどやま(背戸山)」と呼びます。せどやまは、日常的に薪や草などの資源を得る場であり、生活に欠かせないものでした。利用され、整備されたせどやまに咲くササユリは、今でもふる里のシンボルです。

コモンズ(Commons)には日本語で「入会地」「共有地」の意味があります。芸北でも地域住民が話し合いを通じ、地域全体で利用、管理していた土地がありました。そういった土地は現在、細かく区分され個人の所有になっています。この事業では、コモンズのように里山を「共有の財産」として利用、管理していく事を目指しています。